【報告】神山すだち スッパイ体験会in turn table
秋の虫の声が聴かれる今日この頃。9月の神山はすだちの旬を迎え、すだちの収穫に加えて、稲刈りに、秋祭りに、選挙に、運動会に、栗拾いも…、町中が大忙しでした。
そんな中、9月8日(土曜)に東京渋谷のturn tableにて「神山すだちスッパイ体験会」を開催しました。6月に「神山の梅しごとワークショップ」を実施した場所で、今回はすだち版です。(梅しごとワークショップについてはこちら)
神山のスーパー果実SUDACHI
秋の神山の食卓には、すだちが山のように盛られます。秋刀魚や冷奴、焼き茄子にきゅっと搾る定番の味わい方から、味噌汁やビールに搾り入れても爽やかな酸味と香りが広がります。また、秋祭りの日に神山の家庭で作られてきたアジやボウゼ(イボダイ)の“姿寿司”に使われるすだちも忘れてはいけない神山の味です。(魚を酢でしめるのにも、酢飯にもすだち果汁が使われ、すだちが添えられます。)
写真はアジの姿寿司
スッパイすだちの果汁にはビタミンCやクエン酸がたっぷり含まれているのですが、すだちの清々しい香りは果皮から。しかも近年の研究で、すだちの果皮に含まれる「スダチチン」というポリフェノールの一種には、脂肪燃焼を助ける効果があることが分かり注目されています。(詳しくは徳島大学医学部のホームページを参照。
http://www.tokushima-u.ac.jp/med/culture/zisekieiyo/info/2013081300028/)
ジョーダンと神山すだち
そんな搾っても、擦っても丸ごと楽しめる、里山のスーパー果実・すだちの魅力を、turn tableのシェフ・ジョーダン(オーストラリア出身)が“すだちドレッシング”という形で引き出してくれました。なんと、神山すだちとナンプラー(日本の“魚醤”に置き換えることもできます。徳島にも太刀魚で作った魚醤がありますよ。)の異文化コラボレーション!しかもジョーダンは、いろいろお送りした神山の食材から、隠し味として「梅シロップ」と「塩すだち」を使って、新しい神山の味を開発してくれました。
当日は、turn tableに足を運んでいただいた60名の皆さんが、このすだちドレッシングを作って各家庭に持ち帰りました。サラダにかけるのはもちろん、お肉にかけてもさっぱり爽やか(鶏肉との相性が抜群です)、冷やした素麺やうどんと和えるのもオススメです。
ジョーダンの神山すだちドレッシングのレシピはこちら↓
ここで、これからすだちドレッシングを作ってみたい!という皆さんにすだちの扱い方のコツを伝授。
<コツ1>すだちは赤道方向切る
すだちには切り方があります。ヘタを上にしてすだちを地球に見立てると、赤道方向(横方向)に切ることで、果汁がよりたっぷり出ます!
<コツ2>強く搾り過ぎない
すだちをギューギュー強く絞ると、(白い中果皮と呼ばれる部分から)苦みが出てしまいます。なので、「もったいない!」と思うくらいに軽く絞るのが、美味しくすだちを味わうポイントなのです。
「塩すだち」と東京すだち遍路
また今回、ワークショップをご予約いただいた方の特典として「塩すだち」も作っていただきました。「塩レモンは聞いたことはあるけど、塩すだち?」と思われた方、そうです、昨今話題になっている「塩レモン」のすだち版です!
この「塩すだち」は、歴代の地域おこし協力隊が始めたイベントで、今年で5回目の開催となる「東京すだち遍路」(NPO法人里山みらい主催)に初回からご参加いただいている、東京・代々木上原の創作中華料理のお店「ジーテン(jeeten)」のオーナーシェフの吉田氏がお店の料理に取り入れられ、東京から神山に上陸した調味料。
塩すだちは、ドレッシングに入れたり、お肉に揉んでもやわらかくなったり、水と砂糖で割るとスポーツドリンクとしても重宝します。
神山の暮らしには、梅干しや梅シロップにはじまり、味噌や甘酒など、古くから伝わる発酵文化が根付いています。里山発祥の「発酵文化」は、近年都市に住まう若い世代にも注目されていますが、この「塩すだち」は今後神山にも広がるでしょうか!?発酵食品の魅力は、身体にいいことだけではなく、長期保存ができることも。塩すだちは冷蔵庫で数か月の保存できるので、「すだちがたくさんあるけど、どう使おうかな」という方もぜひ作ってみてください!
塩すだちの作り方はこちら↓
ちなみに…、こちらは今年の「東京すだち遍路」でジーテンさんで提供された一皿、「サンマ揚げ大根スダチソース」。東京すだち遍路では、東京都内の飲食店61店舗の料理人が、神山すだちを使った一皿を提供しています。(イベントは9月末で終了しました。また来年をお楽しみに!)
写真は東京すだち遍路のホームページより
掴み取り!神山B玉すだち
今回のワークショップでは、NPO法人里山みらいが取り扱う「B玉すだち」を使用しました。緑のまんまるいすだちですが、葉っぱの影になると黄色くなったり、栽培や収穫の時に傷がついてしまったり…、そんなすだちは、加工用として安く買い取られたり、廃棄されてしまうこともあります。見た目はちょっと悪いけれど、味や香りはA品と変わらない、そんなすだちを「B玉すだち」と名付け、歴代の地域おこし協力隊が販路の拡大を目指してきました。(その一環としても始まったイベントが先に紹介した「東京すだち遍路」なのです。)
今回は、安心して皮を擦ったり、スライスするため、自然栽培のB玉すだちを準備しました。そしてワークショップの参加特典は、B玉すだちの掴み取り!一人7個くらいが平均でしたが、最高では11個掴んだ方も!
すだちを身近に楽しんでいただくためにも、B玉すだちの出番がもっと増えてほしい!そんな思いも東京に伝わったかな…!?
一日限定、神山マルシェ開催!
前回の「神山の梅しごとワークショップ」にご参加いただいた皆さんから「神山の豊かな食をもっと体験したい!」というお声をいただきました。そこで今回は、当日限定の神山マルシェを開催!
「すだちに合うもの」「梅関連」「季節のもの」という3つのカテゴリーで私たちがチョイスした15品目を生産者さんからお預かりし、turn tableに並べました。(多くの生産者さんが、「東京の皆さんに食べてほしい!」と商品の試食も準備してくださいました。)
「なんだか懐かしい!」というお声から、「産地ではこんなふうに食べるの?」という驚きの声があったり、「これは自分用に、これはあの人へのプレゼントに」と選んでくださった方もいらっしゃいました。
ところで、神山町のふるさと納税は「里山の食卓」をテーマに、毎日の食卓に神山で作られたものを取り入れていただきたいという思いで返礼品を用意しています。今回のマルシェを通しても神山の食をご家庭に持ち帰っていただき、皆で食卓を囲んでもらいたい!そこで会話が生まれ、いつか神山に遊びに来ることにつながったり…、食から始まる皆さんとのご縁を想像して思わず嬉しくなる、そんなマルシェとなりました。
神山町ふるさと納税「里山の食卓」についてはこちら
すだちでつながる、都市と里山
いよいよ日が暮れて、朝から始まった「神山すだち、スッパイ体験会」も終わりが近づいてきました。今回は夜の部として、turn tableのシェフの皆さんが腕をふるった、神山の食材を使った「すだちディナー」を味わいながら参加者の皆さんと交流するディナー会も開催されました。
今回の企画を共にしたturn tableは「回帰する食卓」をテーマに、人が集い、食べ、交流する場所です。オーナーの渡邉氏からの「皆で食卓を囲み、出会いと、新しくて懐かしい経験を楽しみましょう」というメッセージで乾杯!
私たち地域おこし協力隊もご一緒して、神山のこと、すだちのこと、移住の経験、神山の温かな人たちのこと…、これから神山でしたいこと、そして参加いただいた皆さんのことも…、お一人お一人といろいろな想いを交換して、すだち尽くしの一日が過ぎていきました。
もちろん、turn tableのシェフの皆さんの魔法のような手で、すだちが華麗に変身した感激も語りつくせません。
最後の一皿「すだちソルベ和三盆のキャラメリゼ和え」は、さわやかに会を締めくくってくれました。(すだちソルベは、お昼のワークショップに参加された皆さんにもお楽しみいただきました。)
すだちがつないだ、神山と東京。すだちの可能性は無限大です!都市から神山に移り住んで、町の人と自然に魅せられた私たち地域おこし協力隊はこれからも、都市と里山をつなぐ存在でありたいという思いを新たにしながら、あともう少し続くすだちシーズンを楽しみたいと思います!
報告:織田(平成30年10月2日)
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総務課への連絡先
TEL:088-676-1111
E-mail:soumu@kamiyama.i-tokushima.jp