神山町文化財再生プロジェクト ~神山アーカイブス~

神山町文化財再生プロジェクト ~神山アーカイブス~

「襖からくり」について

徳島県には昔から続く文化の一つに阿波人形浄瑠璃があります。
神山町内にも昔はいくつかの人形座が存在し、農民たちの娯楽の一つとして、神社やお寺の境内にあった舞台小屋などで人形芝居が楽しまれていました。
当時は素人芝居が盛んで、芝居小屋にはたくさんの観衆が集まり、大変にぎやかだったようです。

人形芝居が盛んに行われているなか、いつの時代も舞台の背景として大活躍していたのが「襖絵」です。
演じるお話に合わせて様々な背景が用意され、芝居の幕間には「襖からくり」という段返しなどの迫力ある見せ場があり、観衆を大いに楽しませていました。

襖からくりは、舞台や芝居小屋にからくり仕掛けを設置し、襖絵が一斉に回転したり上昇したりと色彩鮮やかな襖絵が変化するという大変珍しい芸能です。
現在も神山町に唯一残る野舞台「小野さくら野舞台」(神山町神領字本小野)では、毎年4月の第2日曜日に定期公演が行われ、見事な襖からくりが披露されています。

「襖からくり」について

襖絵の制作は、町民の絵の上手な者が関わったり、町外から絵師を呼び寄せ、神山に滞在しながら制作してもらうというものでした。現在の「神山アーティスト・イン・レジデンス」の様なことが、100年も前から神山町には根付いていたことがわかります。

時代は流れ、テレビや映画などの新しい娯楽の出現により、昔はあちこちで行われていた人形芝居も、その姿は少しずつ見えなくなってしまいました。使われなくなった襖絵は、神社の境内や納屋、蔵などに保管されていましたが、その中には、長い年月の間に雨漏りやネズミの害で傷んだり、家の建て替えや取り壊しの度に捨てられたり焼かれたりしてしまいました。

時代は平成に入ってまもなく、神山町文化財保護審議会の呼びかけで、町内に残されている襖絵を一斉調査し、一箇所に集め、保管することとしました(現在、旧鬼籠野小学校に保管)。そして、現在、それらの襖絵の「デジタルアーカイブ化」を進めています。襖絵を高解像度なカメラで記録撮影しておくことで、絵の復元が可能になったり、時代背景を知る資料として閲覧できたりと、いろんな可能性が広がります。神山町に残る貴重な文化を、途切れることのないよう、多くの人々に伝えるとともに、神山町の文化遺産の再生に力を注ぎたい、そう考えております。

それでは、デジタル襖からくりの一部をご紹介します。
「只今からご覧入れ奉つりまするは、古く江戸時代の昔から徳島県神山地方に伝えられてきた襖からくりにて御座候」

この映像は小野さくら野舞台保存会の襖からくりの練習模様を定点撮影を行い編集した内容になっています。実際に披露される襖からくりとは音楽や動作の早さも異なります。是非、本物の襖からくりの鑑賞に小野さくら野舞台春の定期公演へ神山町までお越しくださいませ。

お問い合わせ

神山町教育委員会

〒771-3395 徳島県名西郡神山町神領字本野間100
TEL:088-676-1522   IP電話:050-2024-2009   
FAX:088-676-1100
E-mail:kyoiku@kamiyama.i-tokushima.jp

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