神山町 kamiyama-cho

総務課

【報告】神山の梅しごとワークショップin turn table

DSC_3059.JPG毎年、梅雨の時期になると、神山の家々では梅干し、梅シロップ、梅酒、梅エキス、梅ジャムづくり等の梅しごとが行われます。

青梅が実ってから熟すまでの1か月あまりが梅しごとの季節。そのままでは食べられない、猿も鹿も食べない梅の実が、美味しく、長く楽しめて、健康もサポートする保存食に変身していきます。

梅には、殺菌や疲労回復、整腸作用があり、梅干しをお弁当に入れておくと長持ちするし、梅シロップは農作業の合間に飲むと、気分がリフレッシュ。神山の皆さんは、旅行に出かけるときには梅エキスを持っていくといいます。なるほど、昔から受け継がれてきた梅しごとには、里山の知恵が詰まっています。

そんな神山に根付く暮らしの技と神山の梅の魅力を、都市部に住まう方々にこそ伝えたい!と、地域おこし協力隊が神山の梅しごと体験会を東京で開催しました。

当日は小さなお子さんから大人まで50名あまりの皆さんに梅シロップ作りを体験いただき、都市と里山が交流するにぎやかな一日となりました。

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日時:平成30年6月16日(土)11:00~18:00 ※体験は1時間程度
場所:turn table(東京都渋谷区神泉)
参加者:54人
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神山の梅しごと.jpgのサムネイル画像   1turntable.jpg
【内容】
・  梅シロップの仕込み(お持ち帰り)
・  turn tableのシェフが作った梅メニュー
・  梅干しの食べ比べと梅シロップ飲み比べ
・  神山の梅しごとや神山の話

【turn tableとは!?】
会場となったturn table(回帰する食卓)は、徳島の食とライフスタイルの発信・交流拠点として、徳島県が東京の渋谷に今年2月にオープンしました。食や宿泊といった体験をとおして徳島の魅力を体感することができ、レストランのテーブルには、神山から伐り出した杉の木が使われています。

この日はturn tableのシェフが作った、神山の梅を作った特別メニュー(梅のアイスクリームと阿波の金時豚の梅ソースがけ)が、お好みの飲み方の梅シロップと共にサーブされ、お楽しみいただきました。

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【青いダイヤと神山ルビィ】
神山の梅は、四国随一の生産量を誇り、かつては「青いダイヤ」とも称されたほどですが、近年は生産量の低下や後継者の不足といった課題を抱えています。一方、神山で漬けられる梅干しは、塩分濃度が約16%の、塩と紫蘇だけで漬けられた昔ながらのスッパイ梅干し。これは、かつて神山の梅農家さんたちが皆で決めた漬け方です。この梅干しを、神山町の地域おこし協力隊(卒業生)たちは神山ルビィと名付け、平成25年からPRを行ってきました。

会場では、4人の梅農家さんが漬けた神山ルビィ(林州、白加賀、小梅、古梅)を食べ比べていただきました。同じ漬け方でも、梅の種類や年数によって味は違ってきます。古梅は、10年ほど農家さんの蔵で眠っていたもの。色の鮮やかさは抜けていますが、味は塩の角が取れたまろやかさがあります。

神山の梅農家さんがこだわる梅干し作りの秘訣はズバリ、「木成り」と「完熟具合」。梅干しに漬ける実は木で熟したものがよいそうで、熟し具合も青い梅では固くなるし、熟れすぎていても潰れてしまうのだそうです。なので、神山の梅農家さんは何度も同じ木に足を運んで、ちょうどよい熟れ具合になった実から収穫していきます。「早く採りたい!」と焦ってはダメなのだそうで、とても根気のいる作業です。

神山ルビィコーナーでは、そんな梅干し作りにまつわる話も交えながら、スッパイだけではない神山ルビィの魅力を味わっていただきました。

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【梅シロップの飲み比べ】
梅干しには完熟梅を漬ける一方で、梅シロップや梅酒には、まだ実が固い青梅を使います。梅の実はクエン酸やミネラルが豊富で、疲労回復や食欲増進の効果があるのですが、青梅のほうがエキスがたっぷり出るそうです。

梅シロップは、砂糖に漬けてから2週間程度でエキスがじわじわと出て、梅がしわくちゃになったら出来上がりのサイン。とても簡単な作業ですが、梅シロップ作りの面白さは、砂糖の種類を変えたり、ビワの種やスパイスを加えてみたり、自分なりのシロップが作れる点にもあります。できあがったシロップは発酵してしまわないよう、早めに飲むことをオススメしますが、時間を置いて熟成したシロップにもまた味わいがあります。

今回は(1)今年漬けたシロップ、(2)昨年漬けたシロップ、(3)熟成させたシロップ、(4)黒糖シロップ、(5)スパイスシロップの5種類の試飲を行いました。一番人気だったのは、(3)の熟成させたまろやかなシロップ。神山のあるご家庭で漬けられて、冷蔵庫で6年間寝かせていたものでした。人気だったことをご報告したら「まだあるでよ。売れるかいな?(笑)」とのこと。確かに、商品化したら人気がでそうです。^^

梅シロップの漬け方.JPGはこちら

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【参加いただいた皆さんの声】
神山の梅の魅力を体感していただいた皆さんから、「梅シロップを漬けてみたかったのでよい機会になった」「神山の梅干しは安心して食べられるから買いたい」「今の時代では、無農薬の梅こそが“青いダイヤ”のように貴重だと思う」などのお声をいただきました。

また、「いろいろな保存食の作り方を学びたい」「スパイス漬けシロップなど、今風のアレンジも参考になった」「子どもと一緒に作業できて、家族のコミュニケーションや食育体験にもなる」というお声には、昔から伝わる里山の知恵を、今の私たちのライフスタイルに合わせて伝えていくことの大切さを感じたり。

そしてなにより、「いろいろなことが起きている神山の“人”と話せてよかった」「神山に遊びに行ってみたい」というお声をいただき、私たち地域おこし協力隊が見つけた神山の魅力を、都市に住む皆さんに伝えることで、これからも里山と都市の関係を築くきっかけを作っていきたいという想いを新たにしました。

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では最後に、農家さん直伝のおいしい梅シロップを漬けるコツを公開!

【おいしい梅シロップを漬けるコツ】
・まだ青くて固い梅、品種は「鶯宿(おうしゅく)」がオススメ
・金属は梅との相性が悪いので、梅のヘタを取るときは、竹串を使う
・砂糖はなんでもよいが、氷砂糖が溶けやすい(梅と砂糖は1:1)
・エキスをより出すため、実を凍らせたり、竹串で刺す作り方もある
・発酵しないように、お酢を垂らすとよい(青梅1kgに対して50~150cc)
・シロップにビワの種を入れると、よりまろやかになる
・毎日やさしく揺らして、梅をシロップで濡らす

神山の農家さんから直接習ってみたい!という場合、毎年「阿川梅の里 梅まつり実行委員会」が毎年、6月の第2土曜日に梅体験学習会を開催しています。詳細は、阿川公民館にお問い合せください。
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さて、ワークショップのお土産には、91歳の梅農家、大久保定一さんと孫娘の由圭里さんが漬けられた、特大サイズの南高梅の「神山ルビィ」をお持ち帰りいただきました。
定一さんと由圭里さんのストーリー(NPO法人里山みらいみらいのページ)

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東京から神山に戻ってきて、定一さんにワークショップの様子をお伝えしたところ、「ほれはよかったでぇ。」といつもの笑顔。6月も下旬に入ったこの日は、梅干し用の熟した梅の収穫と選別の作業をされていて、傷ついた梅を取り除いたり、サイズや熟し具合によって一粒一粒丁寧に選別されていました。「皆に食べてもらわなあかんけんなぁ。」とのこと。

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そう、梅しごとの最大のコツは、「食べる相手を想いながら漬ける」ことなのだと思います。皆さんの愛情がこもった梅シロップが、美味しくできますように!

報告者:織田(平成30年7月5日)
<神山町地域おこし協力隊のページへ>

神山の梅の情報をもっと知りたい方はこちら(当日の配布資料神山の梅しごと.pdf

 

総務課への連絡先
TEL:088-676-1111
E-mail:soumu@kamiyama.i-tokushima.jp

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