すだちでつなぐ、すだちでつながる vol.1 ~神山すだちジャム作戦~
すだちの里を「食」から応援!
神山は日本一のすだちの里!旬の8月下旬から10月の上旬頃、神山では緑の実をつけたすだちの木をいろいろな所で目にします。道の駅にもすだちが並び、神山はすだち一色!
神山町に着任した地域おこし協力隊はこれまで、神山に来た方々にもっとすだちを楽しんでもらいたい!と、地元の料理人たちと「神山すだち鶏天」を開発したり、甘酒にすだち果汁を混ぜた「すだちち」ドリンクを売り出したりと、すだちの里を「食」から盛り上げてきました。
すだちをまるごと使いたい
一方、お土産ものは!?ということで、道の駅をのぞいてみると、ポン酢やお菓子、ドレッシングなど、すだちのさっぱりとした風味が活かされた商品が並んでいます。その場で食べられるアイスクリームも人気があるそうです。
食いしん坊が集まる地域おこし協力隊「すだち部」では、すだちをこんな風に食べよう、あんな風に食べたいという話でいつも盛り上がります。
地元の皆さんにすだちのオススメの食べ方を聞くと、「焼き魚や冷奴」「しょいの実(もろみ)と併せて」「ビールに」「みそ汁にも」と、定番から産地ならではの食べ方を教えてくださいます。確かに、どれも美味しい!しかし「きゅっと搾る」もしくは「皮をする」というのが基本で、加工すると香りが消えてしまうのがすだちの扱いの難しいところ。
すだちは、皮の部分に香りの成分があります。しかも「スダチチン」という脂肪燃焼を助ける成分が含まれているという研究結果も!(詳しくは徳島大学医学部のホームページを参照。)
そんなこんなで、すだちを皮ごと(それもどっさり)使ったスイーツを私たちは求めていました。しかし同時に、すだちの皮には苦みがあります。すだちを皮ごとシロップに漬けてみるも、苦さが出てしまったり、緑の色が変色したり…、どうすればよいのか、試行錯誤しているうちにすだちのシーズンは過ぎてしまうのでした。
そんな私たちの夢をかなえてくれたのが、柑橘王国・静岡の小さなジャム屋さんでした。静岡市にある「しろくまジャム」の店主・武馬千恵さんは、地元で採れる季節のフルーツを使った自然派のジャム屋さんを営まれています。(平成30年9月に惜しまれながらお店は閉店しました。)
写真はしろくまジャムのホームページより
しろくまジャムと神山すだち
しろくまジャムと神山すだちとの出会いは、平成28年の冬。東京で開催されたまちてん~地域創生まちづくりフォーラム~にて、シンポジウムに登壇されていた武馬さんの「ジャムだけでなく、静岡の魅力を伝えたい」というお話に私たちは大きくうなずき、武馬さんも「B品のすだちの活用で町を元気にしたい」という、NPO法人里山みらいの活動に興味を持ってくださいました。
翌年、自然栽培の神山すだちをご注文いただき、商品化されたすだちジャムに私たちはびっくり!うっとりするような緑色のジャムには、皮がたっぷり!さわやかな香りもあり、しかも材料はすだちと砂糖だけというシンプルさ。
「神山の人にも味わってもらいたい!」と感激をお伝えしたところ、武馬さんから「それじゃあ作り方を教えに行きますよ」というお返事をいただきました。しかしその時、すだちシーズンはすでに終盤で、すだちの季節まであと一年待つことになりました。
さて、今年もやってきたすだちシーズン。出始めの9月上旬、神山すだちで作られたジャムは、「しろくまジャム」の人気商品となり、店頭に並ぶとすぐに完売したそうです。みかんやレモンなど、美味しい柑橘がたくさんある静岡の皆さんに愛されたすだちジャム、神山への上陸が待たれます。
すだちジャム、神山へ!
すだちシーズンも後半の10月初旬、いよいよ武馬さんは神山へ!(招へいには、ミラサポという中小企業庁の専門家派遣制度を利用させていただきました。)
今回は5キロ分のすだちを使って、ジャムを仕込みます。まずは果汁を絞って、皮の内側の袋を外して(静岡ではホロと呼ぶそうです)、皮を細かく切って…、となかなか大変な作業。お一人で、しかも一度に10キロ分の作業をされているという武馬さんの根気には脱帽です。
ジャムをコトコト煮詰めながら、武馬さんとすだちやジャムのこと、静岡と神山のこと、これからのこと…、いろいろなお話をしました。すだちを介してつながった武馬さんに神山に来ていただいて、すだちが実った木を見ていただき、ジャムを一緒に作る。私たちにとってすだちは、まさに人とつながり、世界を広げ、自分や地域を元気にするきっかけが詰まった大切な果実であることを実感しました。
2日目。すだちをピクルスやケーキに応用する方法や、商品開発や販売のコツを教えていただきました。商品は正にメッセージ。どのような人に、どのような形で届けるのか。また、お店を立ち上げてから閉じるまでのお話は、もうすぐ協力隊の任期を終えて独立する私たちにとって、とても参考になりました。
人気店に成長して、売り上げも上がっている。しかし武馬さんは「静岡の情報を発信する」という目標に向かって、ジャムを離れて新しい道に進まれます。すだちジャムと武馬さんの想いを受け継いだ私たちは、このレシピを大切に育てていきたいという気持ちを強くしました。
すだちでつなぐ、すだちでつながる
早速、町の皆さんにすだちジャムを試食いただき、「すだちの緑が綺麗」「甘いのにさっぱりしている」「プレゼントにしたい」といった感想をいただきました。またすだちピクルスは、岩手の地での「神山黄金すだちワークショップ」での東北の皆さんとシェアされました。(詳しくは、すだちでつなぐ、すだちでつながるvol.2の記事をご覧ください)
神山のすだちのシーズンは終わりましたが、パッケージを考えたり(ドライすだちをつけてみたり)、使い方の応用を考えたり、黄金すだちでも作ってみたり…、商品名は?販売許可は?商品化に向けての試行錯誤が続いています。
神山の魅力を町の中の人にも外の人に伝える、そして神山の暮らしをつないでいく…、それが私たち地域おこり協力隊の想いです。すだちがつなぐご縁を大切に、新しい出会いや価値を届けられるように…、そんなことを考えながら今日も神山を走り回っています。
果たして、協力隊の「神山すだちジャム」はできあがるでしょうか!?お楽しみに!
報告:織田(平成30年11月19日)
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総務課への連絡先
TEL:088-676-1111
E-mail:soumu@kamiyama.i-tokushima.jp