神山はいま

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多様な人が集う阿波踊り連の、地域に根ざした活動
「〝桜花連らしさ〟は変わってないよね」

令和2年 6月 9日

1992年に青年会の活動からスタートした、神山町唯一の阿波踊り連『桜花連』。発足当初から、期間中に町内の商店街や福祉施設を踊りまわるなど、地域に根ざした活動を続けています。ここ数年は移り住んできた人たちも連に加わり、様々な人が集う場に。今回は谷本英明さん、川口綾子さん、辰濱健一さんの3名に、発足当時の話やどのような思いを持って活動に参加されているのか、お話を伺いました。

桜花連だけが、町の人との接点

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谷本さん(以下 谷本) 谷本英明です。実家は大埜地にありますが、私は徳島市内で住んでいます。仕事は建材業。ダンプカーに乗って、神山の土建屋さんや生コン屋さんの所に運搬に来るので、しょっちゅう出入りしています。ただ運転仕事なので、あんまり人と話す機会もなく。唯一、桜花連だけが、町の人との接点という感じですかね。

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川口さん(以下 川口) 川口綾子といいます。神山は父親のさとで、祖父母が体を悪くして女手がなかったので、引っ越してきました。桜花連との関わりは、一番上の子が小学校低学年のときからなので7,8年くらい。最近はほとんど練習には行ってないんですけど、夏だけ頑張ってくれています(笑)。

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辰濱さん(以下 辰濱) Sansanという会社で働いている、辰濱健一と申します。生まれは徳島県三好市で、育ったのは奈良県です。阿波踊りは、お盆におばあちゃん家に帰ってくると見ていたので、昔から馴染みがありました。

大学卒業後は、徳島市内のジャストシステムという会社に就職し、それをきっかけにずっと徳島で住んでいます。ジャストシステムには企業連があって、阿波踊りはそこで始めました。そのときから笛をやっています。桜花連にはSansanに転職してから入り、もう5年くらいなりますね。

ー谷本さんは、ほぼ立ち上げメンバーですか?

谷本 まあ、立ち上げメンバーといえば立ち上げメンバーですけどね。一歳下の子たちが始めたんですよ。それで、「先輩も一緒にやりませんか?」って誘ってくれたので、最初から参加させてもらってただけ(笑)。

川口 人数はどのくらいいたんですか? 子どもの数も気になる。

谷本 今ほどは多くなかったんちゃうかな。子どもは、多い年もあれば少ない年もあるっていう感じやったかな。

辰濱 今みたいに2日間は町内で踊って、1日は徳島市内に出るスタイルだったんですか?

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谷本 それはずっとそう。町内まわる箇所は、今よりものすごい多かったですよ。倍っちゅうたら言い過ぎかも分からんけど、結構ハードスケジュールやった。

辰濱 今でもなかなかの数ですけど(笑)。

川口 足袋の底が、暑さで溶けるっていうんは聞いたことある。

谷本 足の裏を火傷したりね。

ー保護者の方は、連とはどういう関わりをされていますか?

川口 子どものたちの着付けをしたり誘導したり、あとは荷物持って町内・市内を一緒にまわる、みたいな感じですかね。自分らも結構汗だくになりながらやっています(笑)。

谷本 なかなか連員だけでは大変なんでね。

ー辰濱さんは、企業連との違いなど感じましたか?

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辰濱 当たり前なんですが、企業連だと同じくらいの年代で、且つ似たような人が集まるんですよね。でも桜花連は、年齢層も幅広いし色んな職業の人がいる。それがすごい新鮮でした。今も笛パートに高校生の子が入ってくれているので、その子とはよく喋ります。

「学校どうやった?」「部活なんかやってる?」「テスト近いんやなあ」とか、他愛もないことを。普段は高校生と会話をする機会もなかなかないので、自分が若返ったようで楽しいですね。谷本さんは高校生と喋ります?

谷本 喋りますよ。今の子たちって、結構ざっくばらんに話してくれることないですか? 自分が若いときは、こんな50歳くらいのおっさんに話しかけられたって、ちゃんと話してなかった(笑)。でも、今の子は一緒に踊りしよったら、話してくれるんですよね。

川口  『ぷーさん』ってあだ名つけられとんは、谷本さんでしたっけ?

谷本 聞いたことないです。皆、ほういうんを陰で言うんよなあ(笑)。

川口 誰かが言いよったような気がする(笑)。

辰濱 谷本さんは、美味しい所を結構持っていくんですよ。男踊りのソロとかでも、皆の視線を引きつけるように。

川口 踊り上手ですからね。

地元の人かそうじゃないかは、気にしたことがない

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谷本 私は途中、8年くらい踊りに行ってない期間があって、5年前に復帰したんですよね。抜ける前後は、桜花連も停滞のときで、今の半分くらいしか人数がおらんかった。存続の危機っていう感じやったと思います。でも、私が復帰したときは人数もすごい多くて、知らん人がいっぱい(笑)。

一同 (笑)。

谷本 子ども踊りしとった子が大人になってたり、移り住んできた人も沢山おって、すごい新鮮でしたね。最初は誰がどこの人って、把握するんが大変だった。

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川口 色んな地域から来とるもんね。子ども踊りの子が増えとったら、「あれどこの子だ?」ってなります。谷本さんのことを知ったんも、ちょっと前やもんね。親は知り合いだったりするんやけど。

谷本 自分も「新しく入った谷本です」って言うてたんでね(笑)。知っとる人も勿論おったけど、なんか浦島太郎みたいな感じだったかなあ。

ー桜花連は、地元の人と移り住んできた人の比率が2:1くらいだそうです。

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川口 そう言われると、結構多いですね。でも、地元かそうじゃないかっていうのは、全然気にしたことないです。そんなに深く追求もせんし。

谷本 ひと夏終わって、分かる人もおるしね。「役場の奴やったんか!」とか(笑)。

ー辰濱さんは、移り住んで来られた側。

辰濱 町内の人からすると、「サテライトオフィスって一体何なんだ?」って不信感があると思うんですよ。そういう意味でも、町のコミュニティに所属することで、会社のことはよく分からなくても、人は知ってもらえる。そういうのも、自分にできる務めだったりもするのかなあと。

他の連にはできないこと

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谷本 まあでも、人も増えたし構成も変わったけど、〝桜花連らしさ〟みたいなんは変わってないよね。さっきの話やけど、お盆2日間町内をまわるっていうんは、昔からしよることやしね。

辰濱 家から出るのも大変、市内に行くのも大変っていう人が、この夏この一回の踊りを楽しみに待ってくれている。町内に自分たちしか踊り手がいないなか、そういう人たちに向けて地域を踊りまわるっていうのは、他の連にはできないことだと思います。だからこそ、ちゃんと頑張って踊らなあかんなって。

谷本 病院とかに踊りに行くと、お年寄りの方も沢山いらっしゃって、皆さん一生懸命手を叩いてくれるんですよ。そういうのを見たら、ありがたいですしね。

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川口 広野の流し踊りも良いけどね。見よる人たちも、後ろからずーっと付いてきてくれる。太鼓の音聞いたら、家から出て来てくれる人おるんでしょうね。

谷本 お盆やけん、帰省しとる人もおるでえな。

辰濱 町内2日間踊るのは、町内の人のために。最終日に市内で踊るのは、自分たちのために。そういう風に切り替えています。

この町に、次は何が生まれるんだろう

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ーいまの神山はどう見ていますか?

谷本 活気はものすごく感じますよね。色んな企業の方が神山に入って来られて、町全体の雰囲気が変わってきとる印象があります。飲食の分野でも、お店がどんどん増えてきよるし。自分らが若いときより、活気があると思います。
「この町に、次は何が生まれるんだろう」って期待感はありますよね。やっぱりそういうんは、町外から人が来てくれて、色んな案が出るけんかなって。

自分は、高校卒業してすぐに神山のJAに就職したんですけど、その当時は同級生がほとんどおらんかった。皆、県外や町外に出ていってしもて、残ったんはひとりかふたりくらい。それぐらい皆、町を出たがっていたんですね。今は逆で、むしろ外からどんどん人が来てる。そういう驚きもあります。

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川口 移り住んできた人たちと話をしてると、自分とは違う価値観を持ってたり、色んな意見があって楽しいなって。子育ての仕方ひとつとっても、私は「母親が全部せなあかん」っていう考えなんやけど、なかには「見れる人が見たら良いんじゃない?」っていう人もおって。そういう風に言ってくれる人がおったら、ちょっと気が楽になるというか。

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辰濱 徳島市内で働いているときは、神山はドライブでしか行かない所。「滝と温泉行って終わり!」だったんです。でも今、自分も移り住んできた身としては感じるのは、本当に色んな人がいるなっていうこと。

市内や大阪・東京に比べても、面白い人に出会える機会が多く、入ってくる情報や価値観が多岐に渡っていて、自分の幅が広がりました。そういう人との接点が桜花連にも沢山あるので、とても良い環境にいるなあと感じています。

ー桜花連として、今後こうなれば良いというのは?

谷本 もうちょっと若い人が入ってくれたら、一番良いですね。地元の人とか移り住んできた人とか関係なく、若い人と一緒にやれたらって思います。

辰濱 学校と連携できたら、面白いんじゃないかなって思います。部活が少ない分、放課後過ごす場になれば。

川口 阿波踊り部みたいな。

辰濱 そうです。自分たちが楽しいだけじゃなく、町にとって何らかの役割を持った団体でいたいと思うんですよね。

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