総務課

郷土料理部②神山のお母さんから学ぶこんにゃく作り

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こんにゃくって芋からどうやってできてるの?

 神山に来て驚いたことが、手作りのこんにゃくが店頭で販売されていることです。これまで都会のスーパーの売り場などでは、工場で作られ、きっちりと真四角で同じ形をしたこんにゃくしか見たことがありませんでした。また、この手作りこんにゃくの美味しいこと。ぷるぷるふわふわ、弾力とやわらかさが絶妙で、出汁で炊いても味が良くしみ込みます。こんにゃくがどんなふうに作られるのかを、神山に来るまで考えたことがありませんでした。なんとなく芋からできている事は知っていましたが、それがどうなってあのぷるぷるを生み出しているのか、全く想像ができません。

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料理上手で有名な“のぶちゃん”との出会い

 郷土料理部をの活動をはじめるにあたって、まず、料理を教えてくれそうな神山のお母さんの聞き取り調査を行いました。神山町には、お料理上手なお母さんはたくさんいらっしゃるのですが、皆さん謙遜されて、「いやいや、私じゃなくて〇〇さんがええと思うで。」とおっしゃり、なかなか講師となっていただけるお母さんが見つかりません。そんななかで、下分生活改善グループのお母さんたちに聞いたところ、皆さんが口をそろえて「のぶちゃん」とおっしゃるのです。
 「のぶちゃん」の話を詳しく聞いてみると、「仕出し屋さんで働いとるんよ」、「差し入れで出してくれたおだんごが何とも言えん味じゃった」、「そりゃ、のぶちゃんじゃったら間違いなく美味しい郷土料理教えてくれるわ」とのこと。
 早速、のぶちゃんと親しいお友達のお母さんに仲介していただいて、のぶちゃんのお家に直撃訪問させていただきました。

料理は“愛情”と“てまひま”、そして“経験”

 周りのお母さんたちからの絶大な支持を受けているのぶちゃんのお料理ですが、「教えてもらったところでできるものではない」と言われるほど。そのくらい、のぶちゃんの料理は食材の下処理や味の調整など、行程が多くて手間暇かけて作られており、すぐに真似できるものではないそうです。
 実際、お宅に伺うと、季節に沿った手仕事を丁寧にされている様子がすぐに分かりました。大根の干し方も様々で、これは煮物用、これは酢の物用と分けて、干し方もそれによって変えているのだとか。このマメさも、美味しい料理を作り出す秘訣なのかもしれません。
 また、「習ったことは実際に自分でやってみな覚えんわ」と言うのぶちゃんは、テレビや雑誌で美味しそうなレシピを見つけるとすぐに試してみるという実践派です。美味しい物を求める探究心と、食べてもらう人の事を想う愛があってこそ、のぶちゃんの料理ができるのだと思いました。

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早速こんにゃく作り開始

 皆がそわそわと年末年始の準備に追われる年の瀬に、のぶちゃんは、注文が入ったこんにゃくを作るのだそう。そのこんにゃく作りを見せていただくことになりました。かつて会社に勤めていた時に、お正月用に個人的に注文が来るようになって、当時は夜中に20枚くらい作っていたそうです。「寝んでもいける。作るんが好きなんよ。」とのぶちゃん。
 すっかり手慣れた様子で、計りなどは使わず、手で持った感覚で分量が分かるほどの熟練振りでした。驚いている私たちに、「大体分量は決まった器で計ったり、手の感覚やな。何べんも作ってみて、良い塩梅がわかるようになる。」とのこと。こんにゃく芋を茹で、それをミキサーに入れてとろとろのジュースのようにします。「ラジオで聞いてすぐにやってみたんやけど、玉こんにゃくの中にネギ入れても美味しいんよ。」と話してくれました。今回はノーマル味でしたが、ネギ入りも美味しそうです。こんにゃく芋を擦ってからゆでる方もいるそうですが、のぶちゃん流は、茹でてからミキサーにかけます。

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 こんにゃく芋が液体になったら、水酸化カルシウムをいれます。昔は、藁を燃やしてその灰に熱湯を掛け、布で越したものを使っていたそうです。今では、水酸化カルシウムがお手軽に薬局などで購入可能とのこと。

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 数分ほどかき混ぜて白っぽくなってねばりが出てきたら、大工さんに作ってもらったという特製の木枠にはめていきます。のぶちゃんの手際の良さに、ついつい見とれてしまいます。

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 ちょうど10個のこんにゃくが同じ大きさに作れる枠で、この枠を貸し出してお友達が同じようなものを大工さんに作ってもらった事もあるほど、便利な木枠なのです。ヘラでしるしを入れて、屋外で火を焚いて大きな釜で茹で上げます。大きな釜でないと、10個のこんにゃくを一度に茹でるのはなかなか難しいとの事。

ゆでこんにゃく.JPG お湯の中で、見る見るうちに膨れ上がっていくこんにゃくを見て歓声を上げている私たちに、のぶちゃんも「こんにゃくは面白い。増えるから。」と嬉しそう。「豆腐も作ったことがあるんやけど、やっぱりこんにゃくの方が面白いわ。」

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 30分くらい茹でたら、完成です。いったん水の中に入れて、冷まします。今でこそこんなにも簡単そうにささっとこんにゃくを作ってしまうのぶちゃんですが、「もちろん失敗することもある。最後ゆで上がって水の中に入れとったら、バケツん中で10個がつながって玉になってたことがあったなあ。」とのこと。熟練の技が完成されるまでには、何度も何度も実践することが必要なのだなあと感心しました。
 こんな美味しそうなこんにゃくの、のぶちゃんおすすめの食べ方は、細く切って、豚肉とたっぷりのネギを刻んで味噌炒めにするお料理だそう。早速お土産にいただいたこんにゃくで作ってみたのですが、確かにとっても美味しかったです。豚肉のこってりな油を、葱とこんにゃくが絶妙にさっぱりさせてくれて、ご飯が進みました。 
 今回、のぶちゃん流こんにゃく作りの分量は企業秘密ですが、色々なレシピを試してたどり着いた熟練の技あってのものという事を学びました。この記事を読んで手作りこんにゃくに挑戦してみたくなった皆さん!是非とも、沢山こんにゃくを作ってみて、自分に合ったオリジナルのレシピを見つけてみてくださいね。

報告:川野(平成31年1月15日)

 

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