総務課

平成30年 10月31日

【報告】鮎喰川に木のSUPで浮かぼう!

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神山の真ん中を東西に流れる、清流・鮎喰川。この夏も川遊びや河原でのバーベキューを楽しむ多くの方々で賑わいました。透明度は抜群!(鮎喰川の美しさについては、8月に実施した「ゴロゴロ、ゴロ引き」イベントの報告もぜひご覧ください。)

日本中の里山が抱える課題とは!?
しかしその水量は、かつてに比べると減っているそうです。その原因として、戦後にたくさん植林された杉や檜のお手入れ(伐採や間伐)が行き届かなくなって密集し、地面に光が届かなくなって下草が生えず、山の保水力が弱まったからとも(そのために雨が地表を流れ出してしまい、豪雨時には洪水になりやすいが普段流れる川の水量は減っている)、成長した杉が多量の水を吸い上げるからとも言われています。

現在日本の里山では、どこも同じような課題を抱えています。神山から一山越えた那賀町でもそれは同じ。そして那賀町で活動している地域おこし協力隊が、那賀の杉を使って、この問題に取り組んでいるという噂を耳にしました。「神山の自然を継いでいきたい」という私たち神山町地域おこし協力隊「里山あそび部」としては、地域おこし協力隊のネットワークを活かして、山を越えてこの問題について共に考え、学びたいとその人を探しました。

山と川と海はつながっている、神山と那賀もつながっている
その方は、高森康博さん。なんと、日本サーフィン選手権大会で何度も優勝されている海の人でした。しかしなぜ海のない那賀町に!?

高森さんは現在、(株)那賀ウッドという那賀町の森林資源を活用した商品を開発・加工・販売している会社の協力を得て、那賀の「木頭杉」を使ったサーフボードKUKU を製作されています。高森さんはもともと、県南の阿南の海を拠点にサーフィンをする中、海水汚染やゴミの問題に直面し、「海と川、その先にある山はつながっている」ことを伝えるために木のボードを作るようになったそうです。

なにより一本の木から伐り出したボードは、サーフィンの原点でもあり、波を捉える乗り心地も格別なのだとか。今では、よりゆったりと自然を感じられるよう、パドルを漕いで水面を進む水上スポーツであるSUP(スタンドアップパドルボード)のボードも作って、那賀町の自然を体感するイベントも実施されています。

高森さんのボードは昨年、とくしま木づかい県民会議「木づかいアワードプロダクト部門」で準グランプリや、木の良さや価値を再発見させる製品や取組が表彰される「ウッドデザイン賞」(主催:ウッドデザイン賞運営事務局)も受賞されました。地域の木を使って山と地域をつなぐという活動はもちろん、高森さんのボードは美しいデザインも特長的です。

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私たち「里山あそび部」では、木のSUPを鮎喰川に浮かべ、「川に立つ」という普段の川遊びとはまた違う体験をとおして、鮎喰川の自然の美しさと山と川と海のつながりを体感しながら、山を取り巻く問題を考えたいと思い、「鮎喰川に木のSUPで浮かぼう!」というイベントを計画しました。

とはいえ、高森さんが普段SUPをされているのは、那賀町のダム湖やプール。流れのある鮎喰川にSUPを浮かべるにあたって、最適な場所(水の流れがゆるやかで、深すぎず浅すぎない場所)を一緒に探す中、SUPのインストラクターとしても活躍されている「軽井沢レジャーランド」の樫本知也さんに出会うこともできました。
軽井沢レジャーランドといえば、鮎喰川の渓谷と緑の山々に囲まれたキャンプ場で、神山の入り口でもある広野地域で30年に渡って営業されている町民にとってもおなじみの場所。鮎喰川の近くで生まれ育って、今ではライフセーバーとしても活躍されている樫本さんの存在はとても心強く(さらに樫本さんから、ライフセーバー仲間の篠原雄二さんも紹介していただきました)、あとは当日を待つばかりとなりました。開催の会場はもちろん、軽井沢レジャーランドです!

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イベント案内ページ

しかし、当日は雨
そうして迎えたイベント当日、9月20日は台風は近づいていないものの朝からあいにくの雨。小雨決行予定ではありますが、安全にイベントは開催できるのかどうか、講師の高森さん、樫本さんと何度も連絡を取って開催について話し合います。お天気は午後から回復に向かうとの予報と、講師の皆さんの経験で培われた“勘”を頼りに開催の準備を進めることに。巨大てるてる坊主も待機しています。

お昼前には講師の高森さん、樫本さん、篠原さんに加え、(株)那賀ウッドの庄野マネージャーに、インターンの大学生の二人、那賀町役場の職員さんの皆さんも応援に駆けつけてくださり、雨は止まずともスタッフの熱気は充満。まだ降る雨の中、参加者の皆さんも到着し始めます。

霧の中、試乗をされる講師の3人の姿が幻想的に浮かび上がっています。なんだか急に雨も弱まってきました。
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「雨でもSUPを体験したい!」という熱意溢れる参加者の皆さんが集まり、「こんにちは」の挨拶の後、河原に到着したころから雨が止み…、大人も子どもも、参加者10名はいざ川の中へ!

木のSUPで鮎喰川に浮かぶ!
まずは講師の3人からSUPの乗り方を教わります。はじめにボードに正座して、パドルで漕いで進み、慣れてきたら立つ!川の上流から下流へ、10メートルくらいの距離を何度も往復します。鮎喰川に浮かんだSUPで川に立ったり、寝そべったりしながら、見渡すと周りは緑の山、山、山。雨が降り、森の木々が雨水を蓄え、その水が川に流れ、やがて海へとつながっていく…、そんな山と川と海のつながりを感じる体験は時を忘れるほどでした。

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山と川、それぞれの想い、それぞれの取り組み
川から上がると、軽井沢レジャーランドのお母さんが、焚き火をおこしてくれていました。火を囲みながら、参加者とスタッフの皆で山と川をテーマに想いを交換します。
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「鮎喰川の水量が減っている」と言われていますが、軽井沢レジャーランドの辺りでは、かつてとあまり変わらないのではないかとのこと。しかし「山水をひいて暮らしている世帯で、夏場の渇水が多くなった」という話や、「広野地域では、雨が降ると避難勧告が出やすくなった」という話もあれば、「昔はもっとたくさんの魚がいた」という話や「かつての鮎喰川は生活排水が川に流れてもっと汚い川だった」という話も聞きます。また川原でバーベキューを楽しむ人たちは、この数年で増えているということ。清流、鮎喰川を次の世代につなぐために、私たちにできることは何か!?高森さんや那賀ウッドのような「地域の木を伐って使う」活動も欠かせませんが、まずは里山の美しさを知ること、その素晴らしさを伝えること、課題についても一緒に考えること…。それが山や川を守る一歩となることに違いありません。

高森さんのウッドボードへの想いについて、軽井沢レジャーランドの今と昔、(株)那賀ウッドの取り組み、参加者の皆さんの鮎喰川との関わり、インターンの学生さんから見た那賀町や神山町について…。話は尽きず、山と川と海、そして「人」とのつながりを感じる一日はゆっくりと過ぎていきました。

スカイルームから見おろす鮎喰川
「軽井沢レジャーランド」には、そのシンボルともいえる「スカイルーム」があります。山沿いの旧道を通ると目に飛び込んでくるこのスカイタワーが気になっている方も多いはず!?ということで、イベントの終了後、かつては喫茶店の営業をされたていたという今は使われていないタワーに特別に登らせていただきました。そこから見えたのは、雨上がりの夕方の空が映った鮎喰川。そして反対側を見下ろすと、稲刈りの終わった田んぼの「はぜかけ」の風景も見えました。神山のお米は水が綺麗だから美味しいと言われていますが、きっと美味しいお米ができるに違いありません。

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今回のイベントでの感想で、参加者と那賀町のスタッフの皆さんが揃えて口にされたことは「鮎喰川は本当に美しい」「こんな綺麗な川があってうらやましい」ということでした。スカイルームから見渡した景色に、鮎喰川のすぐそばで神山の暮らしはこれまで続いてきて、これからも続いていく。鮎喰川=神山の暮らしを守っていきたい、そのことをひしひしと感じました。上から鮎喰川.jpg

地域おこし協力隊の町を越えたコラボ企画の実現に向けて、那賀町役場と(株)那賀ウッドの皆さんの強力なサポートをいただいた今回の企画。木のSUPを神山に伝えていただいた高森さんをはじめ、インストラクター兼ライフセーバーとして安全を守っていただいた樫本さんと篠原さん。そして温かいサポートをいただいた軽井沢レジャーランドの皆さん。それぞれの「参加者の皆さんに、素晴らしい体験を届けたい」という想いが重なり、大人も子どもも町の人も外の人も・・・、皆で鮎喰川に親しみ、鮎喰川でつながることができました。

山と川と海と、そして町と人もつながっている。私たち「里山あそび部」はこれからも、神山の自然と暮らしをつないでいくために、つながりを大切に活動していきたいと思います。

報告:織田(平成30年10月31日)

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TEL:088-676-1111
IP:050-2024-2001
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